性能のデザイン設計の方針


1.合理的な構造計画

  • 『安定した構造』は建築物の性能の中で最も大切な部分です。
  • 30年以内に70%の確率で発生すると言われる南海トラフ地震や大型化する台風など、大きな自然災害のリスクは年々高まっています。日常を豊かに快適に過ごせる安心感は、非常時であっても一定の安全性が確保されている上に成り立っています。住まい手の命を守ることが住まいに求められる第一条件です。
  •  水の葉設計社では、建物に掛かる力の流れを検討した合理的な構造計画とすると共に、構造計算(許容応力度計算)で性能の確認を行う事を基本とします。また、力の流れがスムーズな構造計画は架構もシンプルで美しいものになりますので、柱・梁などの構造を意匠的に見せるデザインも可能になります。

2.理論に基づいた温熱環境計画

  •  温熱環境の優れた家は、冬も夏も『快適』に過ごせます。同時に『省エネ』にもなるので環境への負荷も抑えられ、建物の燃費(光熱費)も大幅に削減できる可能性があります。また、ヒートショックによる家庭内事故の発生リスクも抑えられる他、近年では断熱グレードの高い家に引っ越すと喘息など様々な疾患の改善率が上がったという研究結果もあるなど、『健康』の面でも温熱環境の重要性は高まっています。
  •  「太陽を受けて暖かい家」や「風通しが良く快適な家」のように情緒的な言葉で語られる事の多い温熱環境ですが、理論を知らずして適切な計画は成り立ちません。水の葉設計社では様々なシミュレーションを行いながら温熱環境を検討し、暖冷房計画などをご提案します。具体的な数値やビジュアル的な表現で、温熱設計方針について分かりやすい説明を心掛けています。
  •  また、実際の温熱環境や燃費は暮らし方によって大きく変わります。計画段階から住まい手の暮らしに寄り添うことで、本当の意味での「小さなエネルギーで豊かに快適に暮らせる家」にすることができます。竣工後は新しい住まいでの暮らしアドバイスや、温熱環境/省エネ測定も希望に応じて行う事が可能です。

3.素材を活かした意匠計画

  •  西洋は石の文化、日本は木の文化と言われるとおり、ここ日本で素材の味わいを最も生かせる材料は『木』だと考えています。水の葉設計社では木の良さを活かせる木造住宅の設計を行います。
  •  自然素材を使うことは、気持ちが和らぐ、落ち着く、経年で味わいが出てくる…といった心理的メリットや、環境負荷が少ない、日本の地域材を使うことで人工林の整備が進み山村地域も活性化するといった実利的メリットが多くあります。反面、反る、動く、すくといった自然素材ならではの特徴もありますが、それらの特徴を理解した上で「生きている素材」で家づくりをすることは年月を経た後でも味わいが深まり、建物の長寿命化にも繋がります。工業製品も優れたものは適材適所で活用すべきだと考えますが、素材はコスト面や(目に見える)デザイン性だけでなく、それがどこでどう作られたものなのか、使うことでどういう影響があるか、といった「素材の経歴」も含めながら選定していくことが望ましいと考えています。

4.住まい手と建物のライフサイクルを考えた総合計画

  •  住宅の設計は空間を計画することですが、同時に『時間』の計画も必要だと考えています。その場所で何十年も続いていく暮らしの中で、家族構成の変化をはじめ様々なことが移り変わっていきます。現在の視点だけではなく、その長い年月に柔軟に対応できるプランニングが大切です。
  •  当然、建物が長寿命であることは必須条件です。建物が長寿命であるためには屋根や外壁など外装材の耐久性なども重要ですが、何よりも定期的なメンテナンスが行いやすい事が最も大事だと考えています。例えば、シロアリによる被害を防ぐために新築時には防蟻処理を行う事が一般的ですが、それだけに頼るのではなく、定期的に点検できるように床下で潜り込めない部分は造らないようにします。問題が生じた時の早期発見が長寿命化に繋がります。
  •  もうひとつ、ライフサイクルに関わることとして、居住時のライフサイクルコストも新築時から計画しておくことが大事です。大きなものとしては修繕費用と燃費(光熱費)があり、これらを含めた資金計画を提示します。